音響

【エフェクター自作講座】ハンダ付について知ろう【基礎知識編】

学生からの要望

私は、都内にある音響関連の専門学校で講師をしています。
いわゆる「ミキシングエンジニア」や「音声さん」と呼ばれる音響スタッフを育成する授業を担当しています。
休み時間にケーブルの修理などではんだ付けを行っていると、たまに学生が興味深そうに寄ってきます。

その傾向は、音響よりもプロミュージッシャン学科の学生の方が強く、「シールドを作りたい」とか「自分でエフェクターを作ってみたい」という要望を多く受けます。
そこで、何か参考になる本がないかと思ってamazonを探していたら、ちょうどいい物を見つけました。

ROLLYと作るギターエフェクター
ギターサウンドを変化させるオリジナル機器10種の製作

だんなぽん
だんなぽん
なんとも、派手な表紙だこと!!

プリント基板を使わないので、手間がかからない初心者向けの本だと思います。
価格も手ごろなので、早速、ポチってみました。

ローリーさん!さすが!!

この本は、監修がローリーさんです。
彼が実際に回路を設計したり作ったりしているわけではありませんが、初心者に分かりやすく書かれていると思います。

難しいフレーズをチャラチャラしたスタンスで簡単に弾いてしまうローリーさんらしいキャラクターに溢れた内容です。
ローリーさんの手にかかると難しいことでも簡単に思えてしまいますが、実際には、この本に書かれている内容では初心者にはレベルが高すぎます。

この本を参考に自作エフェクターに取り組むのは、キャッチボールをしたことが無い人が草野球の試合に出るようなものです。
失敗しないためには、ある程度の知識や技術が必要ですから、そこから始めた方が良いと思います。

これも、講師と言う職業柄なのでしょうか?
手順を追って説明していかないと、自分が納得できない面があるのです。
ですから、ハンダ付けの初心者でもわかるレベルから話を始めたいと思います。

必要なもの

【ハンダゴテ用品】
ハンダゴテ:はんだを溶かすためのコテです。
コテ台:ハンダゴテを置く際に使います。
ハンダ:コテの熱で溶かして部品同士をくっつけます。
ハンダ吸い取り器:はんだが多く付きすぎたときに吸い取ります。
ハンダ吸い取り線:基盤などの細部のハンダ除去に使います。

【ペンチ類】
ラジオペンチ:部品の足を曲げる時などに使います。
ニッパー:線や部品の足を切る時に使います。
カッター:配線材の外皮を剥くときに使います。

ハンダゴテ選びのポイント

ハンダ付けで初心者がぶつかる最初の問題は、コテの温度管理です。
初心者だけでなくベテランでさえも「ハンダが溶ければ十分だ」という人が多く、amazonなどで1,000円から2,000円程度のハンダゴテをチョイスする人がかなりいます。
最近では、100均でもハンダゴテを販売しています。
授業でハンダ付けを教える際に、「音響を仕事にしようと思う人はハンダゴテを用意しなさい」と指示すると、学生が真っ先に買ってくるのがコレです。
ハッキリ申し上げますが、数百円のハンダゴテは「ただの熱くなる棒」です。
学生が使っているのをチェックしましたが、電源を入れてから数十分でコテ先が酸化してハンダが溶けなくなりました。
更に恐ろしいことは、持ち手の部分が異常に熱くなってきたことです。
又、父親が電気屋だという学生は、キャノン3ピン(マイクケーブル)を作る際に100Wのハンダゴテを持参してきました。
当然、温度が高すぎて、コネクターをいくつもダメにしてくれました。

このように、ハンダゴテは「ただ熱くなるだけ」ではいけないのです。
熟練した人なら、熱くなりすぎたコテ先を濡らした雑巾にジューっと押し当てて温度調整しながら作業ができますが、初心者には絶対に無理な「技」です。
コテの温度は高すぎてはいけません。
加熱しすぎたハンダは白っぽくなり、脆くなります。
ICやコンデンサーを熱で破壊する危険も大きくなります。

ハンダ付が失敗する最大の原因は、ハンダゴテの温度が高すぎることにあると言っても過言ではありません。
私も、コテの温度が高すぎて、プリント基板をダメにしたことがあります。
ですから、これからハンダ付けを始めようとする人は「温度調整機能付きハンダゴテ」をチョイスするのが良いと思います。

温度設定が330℃前後で調整できるハンダゴテをチョイスすれば、用途に応じて微調整がきくと思います。

コテ台選び

ハンダゴテは高熱になるので、キチンとした台を使わないと危険です。
私も、間に合わせで醤油皿にキッチンペーパーを水に浸しておき、その上にハンダゴテを置いて作業をすることがあるのですが、2度ほど絨毯を焦がしたことがあります。

よめにん
よめにん
火事になったらどうすんじゃぁああ!!
だんなぽん
だんなぽん
すんません・・・

ですから、特に初心者の人は、キチンとしたコテ台も購入しておきましょう。
コテ先をキレイにするためのスポンジ(水で濡らして使う)付のものがお勧めです。
折り畳み式のものは、安定性に欠けますから危険です。

長くなりましたので、今日はこの辺で!
次回も、ハンダに関する基礎知識になります。