ギター

【エレキギター基礎講座】レスポールとストラトの違いを知ろう!

はじめに

10月になり、秋学期を迎えて私が教えている専門学校も専攻別のクラス替えが行われました。
私は、音響(レコーディング)を担当しているのですが、今回のクラスにも「ギター挫折者」が数名おります。
彼女たち(最近は音響の専門学校でも女子の方が多いのです)も、壁に当たった時の「助け舟」があったら、挫折しないですんだのだと思います。
そんな事があったので、久しぶりですが、初心者のためのギター講座を開催します。
今回は、エレキギターについてのお話しです。
エレキギターメーカーで『Gibson(ギブソン)』と『Fender(フェンダー)』は世界的に有名です。
ギブソン社で最も有名なモデルは『レスポール』、フェンダー社では『ストラトキャスター』がありますが、ギター初心者の皆さんはデザイン以外の違いがわからないのではないでしょうか?
こう言っている私も、最初のエレキギターを買った時は同じでした。
最初に買ったのは、フェルナンデス(国産)のストラトキャスターのコピーモデル(本家の楽器を真似したモデル)だったのですが、大きな理由はなく、昔から知っているエレキギターの形をしているということだけで選んだのでした。

その後、チョーキングがキツイ、音が細い、歪まないなど色々な不満がありましたが、解決する手段がありませんでした。
ギター経験を積んだ今なら、「ストラトだから」ということで全て解決するのですが、当時の私はエレキギターの知識が無く、インターネットも無かったので仕方がありませんでした。
「ストラトだから」という意味が分からない人の為に、そこから解決していきましょう。


ピックアップについて

ピックアップとは、エレキギターのボディに取り付けられた「音を拾う部品」です。
本家ギブソン社やフェンダー社の楽器を始め、コピーモデルについているピックアップも、オリジナルモデルには、レスポール=ハムバッキング、ストラト=シングルコイルが取り付けられています。

構造や原理などについては、いずれ説明いたしますが、両者の特徴は以下のようになります。

【ハムバッキング】

音が大きい(出力が大きい)
太くて丸い音がする
ノイズ(ジーという雑音)が少ない

【シングルコイル】

音が小さい
シャープで繊細な音がする
ノイズが多い

一番の違いは、音の太さとキレです。
個人的な好みとしては、ハードロックやヘビーメタルのようなバリバリのディストーションサウンド(歪んだ音)にはハムバッキングが向いていると思います。
逆に、歪んでいないクリーンな音にコーラス(厚みやうねりを付けて華やかな音にするエフェクター)をかける際には、シングルコイルの方が断然に繊細でキレがある音になります。
又、ブルースのように軽く歪ませた音についても、シングルコイルの方が好きです。
グシャっとした音になりますが、そこがブルージーでいい感じです。

ちなみに、私の最初のギターが「歪まない、音が細い」というのは、シングルコイルだったのが原因です。
当時はハードロックのバンドを組んでいたので、最初からレスポールをチョイスしていれば、そんな不満はなかったと思います。

チョーキングがキツイ

チョーキングとは、弦を押さえたまま、フレットと平行に指をズラすことによって音程を上げる奏法です。

ギターソロで「キュイ~ン」という感じの音が鳴っているのがチョーキングです。
この時の力の入れ加減が、楽器によって異なるのです。

レスポールとストラトでは、デザインやピックアップ以外にも違いがあります。
それは、ナットからブリッジまでの長さ「スケール(弦長)」です。

弦長は、長くなるほど音程は低く、短くなるほど音程は高くなります。
ギターのフレットを押さえることで音程を変えているのは、押さえた弦の弦長を短くすることで音程を変えているのです。
ですから、同じ張力(弦を引っ張る力:テンション)ならば、弦長が短いほど音程は高くなるのです。

では、張力を変えると、どうなるでしょうか?
ペグ(糸巻き)を回して弦を張っていくと、どんどん音程は上がっていきますね。
又、チョーキングした時も音程はあがります。
これは、弦の張力を強くすることで、一時的に音程を上げているのです。
反対に、同じ音程ならスケールが短いほどテンションを弱くすることができるということです。

そこで、レスポールとストラトのスケールを比較してみましょう。

ストラトキャスターのスケール:約648mm(25 1/4インチ)=ロングスケール
レスポールのスケール    :約628mm(24 3/4インチ)=ミディアムスケール

どうでしょうか?
レスポールとストラトでは、約2cmですがレスポールの方がスケールが短くなっています。
その分、張力が弱いですから、チョーキングがしやすいということなのです。

スケールについては、テンション以外に音質にも影響があります。
テンションが強いと硬めの音となり、緩いと柔らかい音になります。

今回のまとめ

このように、レスポールとストラトは同じエレキギターですが、特徴は大きく違います。
それぞれ、自身の演奏スタイルや音楽に合わせてチョイスするのがベストなのですが、体力が無い人は、ストラトの方がお勧めです。
なぜならば、楽器の重量がレスポールの方が圧倒的に重いのです。
又、膝の上に乗せて弾くときも、バランスが悪いです。

移動も軽い楽器の方が楽なので、私はもっぱらストラト派です。
ただし、ピックアップをハムバッキンに交換しています。

最初からハムバッキングを搭載したストラトも販売されているので、私のようにストラトの軽さとレスポールの音の太さが欲しい人は、そちらをチョイスするのが良いでしょう。